街角情報室vol7 茶色の狐

自宅の近くに小さな公園が有る。夜が白む頃通りかかるとカラスの鳴き声が喧しい。小山の上を3,4羽旋回している。狐が蹲っていた。一度北24条地下鉄駅付近でも見かけたこともあるがあるがこの近辺にまで生活圏を拡大しなければ生きていけないことを同じ哺乳類として気の毒に思う。こちとら酒も入っている。持っていた傘をドスにみたてカラスを蹴散らしに小さな203高地に向かった。気分は山口組事務所に一人乗り込む高倉健である。カラスは遠巻きに飛びながら「なんだ、この頭だけブルース・ウイルスに似た親父は・・・カア、カア、」と喋っている。以前自宅の屋根に上る梯子の上にカラスが巣を作ったので撤去したことが有る。鋭い声で泣き叫ぶと助っ人のカラスが10羽以上集まり家の上を旋回し威嚇してくる。ヒッチコックの「鳥」の世界である。その後暫くの間階段の上に糞はするわ、ベランダで作っていた乾燥野菜をたべるわ、カーテンを開けると電線に3,4羽がとまっていてじっとこちらを見ているという脅しに会ったことが有る。カラスに関わるとCROWする。狐とは一瞬目が有ったが「ありがとう,コン、もうこの辺には来ん」とも言わず立ち去った。立ち振る舞いがメスである。酔った頭蓋骨にジミ・ヘンドリックスの「Foxy Lady」が共鳴する。幸いその後もカラスからのお礼参りもない。その代わり助けた狐からの返礼品もない。義理が廃ればこの世は闇さ・・・背中で泣いてる唐獅子蓮根
都庁では緑の狸が闊歩している。その日見た狐は赤い狐ではなく普通の狐であった。