最近気になる高校生のカップルがいる。気が付いたのは去年の夏ぐらいからだ。僕が店に行く6時前後近くの公園でおでこを突き合わせて手を握り合いながら話してる制服姿の二人がいる。僕が前を通っても腹一杯インパラの肉を食べたつがいのライオンのように動じない。その二人がこの水道も凍結する時期に地下鉄の出入り口付近の事が多いのだが、しっかり手を握り合い女の子は男の子の胸におでこをくっ付け、男の子はその頭の上に自分の頭を重ねて多分数時間ずっと話をしている。人通りが多くても気にしている様子は全くない。完全に二人の世界に入っている。一日二度会うこともある。スーパーに行くとスーパーの前にいる。コンビニに行くとコンビニの前に移動している。ポーズは一緒だ。トレンディードラマに出てくるポーズなのかもしれないが僕は知らない。横を通り過ぎるとき話がチラッと聞こえた。学校であったことを話していた。
「ロミオ。鎌倉幕府が成立したのは昔は1192年だったんだって」
「ジュリエット、日本史とってるんだ。僕は世界史だからその辺は詳しくないんだ」
「パパが言っていた。いい国作ろう鎌倉幕府って語呂合わせで覚えたんだって」
「そうなんだ」
「でも源頼朝は知っているでしょう」
「ジンギスカンのチェーン店作った人のお兄さんでしょ」
「そうそう、ロミオ詳しいんじゃん、頼朝公は江戸時代には庶民の間では人気があったんだって知ってた?」
「そうなんだ」
「今でいう、サーカス小屋みたいなところで頼朝公のしゃれこうべを見せる小屋があったんだって」
「そうなんだ、なんで」
「頼朝公はたいそう頭の大きい方だったんでそのしゃれこうべを見せる小屋が出ていたんだって。
でも、江戸の町民の間で噂ほど大きくないので浅草のご隠居が口上をしている人にきいたんだって。『頼朝公はたいそう頭の大きいお方だと聞きましたがこのしゃれこうべは小さいね』」
「さもあり何、頼朝公のご幼少のしゃれこうべにございまする」といったんだって」
「そうなんだ」
みたいな話をしているのだろう。
多分二人は初恋だ。恋に破れたこと経験しているの二人はああいう手の握り方はしない。
対立する山口組と神戸山口組のご子息なのだろう。
逢引きは恥じらいをもってツタの絡まるチャペルの裏でやってほしい。その方が燃えるよ。
