Jazz紳士交遊録vol28  田中菜緒子

明日から菜緒子に来てもらう。この交遊録何回目か調べてみると前回は若井俊也であった。菜緒子を紹介してくれたのは俊也である。ちょうどタスキをつなぐ形になった。菜緒子の特徴はその包み込むような優しいピアノの音色にある。クラッシックのトレーニングを積み上げてきた人に時々ある「氷の微笑」的な冷たさがない。女性に在りがちな音符の眉毛が釣りあがったヒステリックな音もない。その音に身を任せていると想い出すのは母親の羊水に身を任せている無垢の自分である。オリジナルには凝った曲もあるが理論武装しないと太刀打ちできないようなものはない。それは菜緒子の人柄と相似形になっている。何度か来てもらっていると確率的に事務的な齟齬をきたすことが有る。菜緒子にはそれがない。この話を俊也にすると「それは僕が全部やっているからです」と言われた。菜緒子はそういう面では割と愚図らしい。やはり人は見かけによる・・・のか。菜緒子がCD買ってくれたお客さんにメッセージを書いて行ってくれたことが有った。その時はドラムの柳沼がいた。そして何故か店に口紅があった。菜緒子が書いた便箋に二人でキスマークを付けた。それを誰か菜緒子にメールで送った。返信が来た。「あいつらだな・・・」あいつと呼ばれて一気に距離感が縮まった。薄っすらと残った口紅を付けたまま打上のいも美を飲み続けた。
週末は村田千紘にも来てもらって村田中スペシャルカルテットである。俊也、中村海斗のリズムセクションである。お勧めである。
僕は吉田である。多少楽器が弾ける。以前菜緒子に「吉田中」で売り出そうと提案したことが有る。「ウフフ・・」と曖昧な笑で誤魔化されてしまった。